
オークションには、毎日のように九谷庄三が出品されています。しかし、これまでに数百点の庄三や庄三工房や庄三の高弟達の作品を見てきた私の経験に照らすと、その99.99%は九谷庄三もしくは庄三工房とは関係のない作品であると断言できます。
九谷庄三作とされる作品は、以下のようにカテゴライズできると思います。
①九谷庄三本人の作品->庄三銘あり
②庄三工房の作品->庄三銘あり
③庄三工房出身者の単独作品->九谷銘のみ(庄三銘なし)
④庄三の高弟の作品->弟子の銘(武腰・中川・笠間など)
⑤庄三手の土産物->庄三銘あり(小品が多い)
⑥庄三を真似た贋作->庄三銘あり(大作が多い)
このうち、⑤は悪意のない土産物ですが、⑥は悪意のある贋作です。いずれにしても、①から④までは、使われている陶土に特色がありますから、判別ができます。
さて、出品の品は、上記の③の系列と判断されます。まず、肌理の粗くて非常に重い陶土が使用されています。庄三が幕末期に使用した陶土と一致します。使われている和絵具も庄三工房のそれと一致します。また、絵具の表面が銀化しており虹色に反射しますから古い品物と分かります。人物の表情や仕草も優美です。
庄三工房作と言われても分からないレベルですが、庄三の銘はありません。つまり、本当の庄三工房出身者が工房外で作成した品物には(当然ながら)庄三の銘はつけないという暗黙のルールがあったはずです。九谷は狭い地域社会ですから、贋作などを作れば村八分などの制裁があったはずです。
出品物は、36cmの平鉢です。陶土は薄黄色の小麦色ですから、幕末期の作品と思われます。これより古くなると蕎麦色の陶土になります。明治になると磁器に近い白さになります。
ワレ、カケ、ヒビなどの瑕疵はありません。柔らかい陶器にしては、とても良い保存状態です。
尚、私の説明文と写真をそっくりそのまま盗用して、格安で販売しますという詐欺サイトが散見されます。呉々もご注意下さい。私がその様な詐欺サイトに並行出品していると勘違いされた方から、聞くに耐えない酷い罵詈雑言を浴びせられたことがありますが、私はオークションサイト以外には出品しておりません。
九谷庄三や明治の陶磁器に就いてもっと知りたい方は、私のブログをご参照下さい。https://karatsu.hatenadiary.com/