内田晃（1918～2004）は埼玉県生まれの洋画家。1954年に白日会展に初入選し、1958年に会員となるが1966年に退会。1967年に第一美術展で特選を受賞し、第一美術協会に入会、1970年には常任委員を務めるが1973年に退会。1974年から大調和会を主な発表の場とし、翌年には委員、後に運営委員となる。1989年に大調和展で文部大臣賞を受賞し、銀座松屋での個展を1985年から毎年開催。2002年に二元会常任委員に就任。2004年4月に胃がんのため東村山市で没。享年85歳。彼の作品は外国の風景、人物、静物などを細密に描き込む作風で多くのファンを魅了し、2005年には埼玉県飯能市の名栗庁舎ギャラリーで回顧展が開催されるなど、没後も高い評価を受けている。

内田晃「パリー風景」油彩 20号 大作 証明シール
本作《パリー風景》は、洋画家・内田晃が描いた、フランス・パリの街角を主題とする油彩画です。赤いテントが印象的なレストランやカフェが建ち並び、その前を多くの人々が行き交う光景は、まさにパリの街の鼓動を感じさせます。看板や映画の広告、石造りの建築などの細部まで丹念に描かれており、画家の確かな観察眼と描写力が際立つ一枚です。画面には冬枯れの街路樹が立ち並び、人々はコートに身を包んで歩いています。寒さの中にも人々の営みと街の温もりが感じられ、旅情とともに都市の生活感がにじみ出ています。軽快でリズミカルな筆致と温かな色彩により、パリという街がもつ詩情や文化の厚みが丁寧に表現されています。

内田晃は、埼玉県出身の洋画家で、白日会、第一美術協会、大調和会などで活躍し、文部大臣賞を受賞。とりわけ外国の風景や人物、静物に対する繊細な描写と情感豊かな表現で知られました。本作は、彼が得意とした海外風景の中でも、ひときわ都市のにぎわいと人間模様を色濃く描き出した秀作といえるでしょう。パリの一瞬の光景を切り取りながら、そこに流れる時間や空気感までも封じ込めた本作は、内田晃の画業の魅力を凝縮した一枚です。