
文庫です。 きれいなほうです。
孫策
父・孫堅を亡くし、若くしてその跡を継いだ呉の武将・孫策。勇猛であった父の軍隊は解散してしまい、一兵も持たない境遇になってしまった孫策だったが、伝国璽とひきかえに三千の兵を手にする。
それがきっかけで息を吹き返した孫策は、人並外れた戦闘力と抜群の統率力で瞬く間に戦功を挙げ、主家筋である袁術軍の中でもひときわ異彩を放つ存在になっていく。
また一方で、人と話すのが好きで闊達な性格であった孫策のもとには、続々と人材も集まった。
袁術から江東への出兵を要請された孫策は、次々と敵を打ち破り地盤を強化、盟友・周瑜の協力も得てついには江東で念願の独立を果たす。
さらに快進撃を続ける孫策は、勢いに乗って曹操の支配する許都を攻めようと機会を窺う。そして出立を三日後に控えた朝、孫策はある見逃せない情報を得た……。「江東の小覇王」呼ばれた若き英傑の生涯を描く歴史小説。
班超
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」を旗印に、僅か36人を率いて数百の敵を撃破した班超。西域攻略に命を懸けた男の生涯を描く長編小説。
中国は後漢の時代。対匈奴戦でその能力を評価された班超は、西域諸国への親善使者に抜擢され、ゼンゼン国に向かった。訪問当初こそ美酒・美食に加え、妖艶の舞姫が出てくるほどの歓待ぶりだったが、日が経つにつれ、次第に対応が悪くなってきた。おかしいと思った班超は、よもやと思って様子を調べさせる。すると、匈奴も親善の使者を派遣していたのだった。
危険を察した班超は、なんとか脱出する方法はないかと考える。しかし味方は36人。これではとても150人もの敵に抗することはできない。そこで班超は、夜襲をかけることを決意する。怖がる部下たちを叱咤激励すべく、昔、父に言われた言葉を怒声のごとく発した。「虎穴に入らずんば虎児を得ず!」。そして見事数倍もの敵を撃破した班超たちは、以後30年の間シルクロードを疾駆し続けるのだった。▼西域攻略に命をかけ、50余りの国を後漢に従わせた男の壮大な人生を描く長編小説。
張良
項羽を垓下に破り天下制覇を遂げた劉邦。彼の躍進の陰には常に張良の頭脳があった。漢建国に尽力した稀代の軍師の生涯を描く長編小説。
本書は、好評「歴史人物シリーズ」の新シリーズ・中国人物篇の第一弾であり、漢帝国を築いた高祖・劉邦の名軍師として知られる張良の生涯を描いた作品である。
漢の宰相の家門に生まれた張良は、秦の始皇帝の侵攻によって亡国の憂き目を見る。彼は復讐を誓い、若い日に一人で始皇帝暗殺を企てるが失敗。遊侠の徒に身を落として、兵法の究理に没頭する。そんなある日、風采の上がらぬ老人と出会い『太公望兵法書』を授かることに。彼の運はここから開けていった。やがて始皇帝が死に、反秦勢力が起ち上がる。張良は、項梁・項羽の勢力下にあった劉邦を訪ね、客将として帷幕に迎えられることになった。以後「垓下の戦い」で劉邦が項羽と雌雄を決するまで、八面六臂、機略縦横の働きをするのである。特に劉邦最大の危機であった「鴻門の会」では、策謀家としての面目躍如、項羽を翻弄し、危機一髪で劉邦を救った。
白皙痩身、稀代の名将の活躍を描く長編歴史小説。