【メーカー】
・「Military Wheels  ミリタリーホイールズ」はウクライナの簡易インジェクションメーカーです。同じくウクライナには「ACE Models ACEモデル」というメーカーがありますが、パーツの雰囲気はこの社の製品とウリ2つというか、もしかしたらOEM生産品なのか、あるいは制作している協力会社が同じなのかもしれません。 主に軍用車両がメインでレアなアイテムが多いので、ミニスケールファンの方々にとって垂涎のアイテム盛り沢山です。 

・しかし簡易インジェクションということで制作に手間がかかること避けられず、ゲートからパーツを切り出し無数にあるバリをとるなどはいたって当然の作業で、細かいパーツなどは特に、バリの中に埋もれたパーツをまるで発掘でもしているかのようにナイフで削り出していき、大工さんのようにやすりで面と直角を出すなど手ごわいキットなのですが、このキットに慣れてくるとその過程をも楽しめてくるようになります。 そしてディティール自体はとても良くできているものが多く、根気よくパーツをすり合わせ削り出していくと意外にもパーツあわせ自体は良かったりして面白いキットです。 キット設計自体は良い技術とセンスを持っているのに、生産工場の設備や機材の調達が追い付けていないような印象を受けます。 

・当社の初期のモデルに良くみられることですが、キットに使用しているプラ材がおそらくは再生か何か、かなり粗悪なものが使われています。 時間が経つと黄色や茶色のシミ状のものが浮かび上がる、そもそも購入した時点でフタを開けたらシミだらけということも多々ありました。 しかしパーツ自体の変形に至るまでは経験上ではありませんでしたので、制作時はこのシミなどの劣化を見越して、キット完成後にこのシミの色が透けてこないように下地用プライマー、サーフェイサーを塗布するようにしています。黒立ちあげ塗装というより、下塗りとして黒色を用いるのも効果的かもしれません（まだ検証はできておりません）。 

・ウクライナにはこの「Military Wheels  ミリタリーホイールズ」社の他に、主に飛行機模型を手掛ける簡易インジェクションメーカー「Aモデル(Amodel)」社という「重鎮」が存在し、同じくレアな機体ばかりを開発販売していますが、プラの質、ディティールの細かさ、そして作り手の根気と根性を試しているかのようなパーツ状態のハードさは、もしかしたら両社同じ会社ではないのかと疑いたくなるほどそっくりです。実際、本キットに付属するデカールの下部には「Aモデル(Amodel)」の社名がしっかり印刷されています（写真3をご参照ください）。

・プラモデルを作らされているというよりゼロから自分がこさえているような感覚、苦労して組みあがり塗装した完成品を手にしたら、このメーカーのファンになることうけあいです。 皆様もチャレンジされてみてはいかがでしょうか。 国内販売代理店ホームページを確認したところ「Military Wheels  ミリタリーホイールズ」社の名前がありませんでした。代理店が取扱いをやめたのか、あるいはメーカー自体消滅してしまったのかは不明ですが、いずれにせよキットは入手困難な状況です（2025/5/27現在）。 

・キットの箱絵は、1941年頃のハリコフ、プロレタルスカヤ（セルギエフスカヤ）広場が背景にあり、都市防衛のため召集された兵士を無償で輸送するサービスを記した看板をつけた「路面電車 Xシリーズ / Kh型」が描かれています。 キットパーツは上掲の通り各パーツの整形からさっそく一仕事なのですが、ディティールや考証についてはよく練られており、キットの車両は運転士室と客室の間にパーテーションをつけた初期型の車輛を再現しています。キットには車輛本体のほか、レンガ敷の軌道がモールドされた射出式のベースと送電線の支柱がついており、ダイオラマ風に仕上げて完成後にたっぷりと鑑賞が楽しめます。

・デカールは1車種分がセットされています。